筬の空間率の検討すべき項目

筬とは

織機の構成要素の内、筬という箇所があります。筬で緯糸を経糸の間に押し込み、織物にしていきます。

筬の種類

一般的には平筬(ドラフレックスリード)と変形筬(トンネルリード)にわかれます。(細かく言うともっとあるのですが)

  

日本で作ってるところはだいぶなくなってしまいました。
弊社では高山リードさんへ依頼をしています。北陸の方にあるのですが、仕事が丁寧で実績もあります。

エアージェットでは変形筬を使います。
・エアージェットのリード(筬)の違い  ・筬計算方法(筬番手計算方式)

筬の空間率について

空間率とは簡単に言えば隙間がどれくらいあるか、ということを指します。

筬への経糸の入れ方によって空間率が変わる

例えば1/2の綾織の織物があったとします。
基本的には筬羽への入れ方は1本入れ、3本入れのいずれかから選びますが、基本的には3本入れを選択する場合がほとんどです。
ただ、お客さんによっては1本入れにしてくれ、という依頼はあったりします。
3本入れと1本入れを比較すると織り目が均一になるからです。
ただ、1本入れができる場合とできない場合があります。
例えば1/2の組織に使用される糸番手を10番手とし、筬番手(羽数/2インチ)を46番手の織物があるとします。

糸太さの求め方

この時の糸太さは直径0.2997mm程度になります。
 Nは綿番手になります。

筬羽間距離の求め方

次に筬羽間距離は46番手の場合、1.1043mmになります。
 Nは筬番手になります。

筬羽の厚みは一応選択できるのですが、基本は0.22mmくらいだそうです。
ミニマムは0.16mmだそうですが、織物の規格によってミニマムには設定できないみたいです。
薄すぎると壊れやすいですし、筬羽間からのエア漏れも無視できない量になってしまうそうなので。

空間率を考慮するとき

開口不良が関係するのは開口時と待機状態時のときです。
開口時には上に2本、下に1本(逆でもいいですが)、閉口時には真ん中に2本、上に1本となります。
そうすると2本の状態は28.8%1本の状態は64%になります。
(計算方法は (筬羽間距離-羽厚-糸直径×本数)/筬羽間距離 としています)

ではこれを1本入れに変更して考えてみましょう。
3本に1本でよかったところを1本ごとに入れないといけないので、3倍の羽数が必要になります。
そうなると筬羽間距離は0.3681mmとなり、1本時の空間率は-112%となります。

つまり糸が通らないということです。
もちろん、糸は剛直ではないので実際には通りますが、筬で糸が削られ、経糸に毛玉が大量にできる、もしくは切れます。

製織できる空間率

マイナスにならないようにすればいいのか、というとそういうわけでもありません。
毛羽の状態(サイジングや湿度による)によって筬でしごかれ毛玉ができる場合もありますし、
糸が常に均一な状態ということはありませんし、撚糸回数によっても異なりますし、
単糸と双糸で糸直径が異なるからです。
計算はあくまで目安でしかありません。

ということで、筬の選定はある程度空間率に余裕をもたせ、無理のないように織れることを確認しましょう。
参考ファイルはこちらから。