サイジングは経糸に糊をつけ乾燥させる工程です。
乾燥の仕方は温かい空気を出すホットエアー方式と、熱シリンダーを通すシリンダー方式があります。
昔の主流はホットエアー+シリンダー方式が一般的でしたが、現行はオールシリンダー方式が一般的になりました。
ちなみにシリンダーを暖めるには高圧蒸気を用いる方法が一般的です。
ドレンを回収するべきか、廃棄するべきか
ドレンとは?
高圧の蒸気が熱を奪われると水に戻ります。それをドレンと呼びます。
このとき利用されるエネルギーは、蒸気を発生するためボイラに供給したエネルギーの約75%だそうです。
すなわち、残りの約25%のエネルギーは凝縮したドレンの中に蓄えられているとのことです。
回収するべきか、廃棄するべきか
一概にどちらがいいというのは難しいところがあります。
判断するのはまず回収するための費用を見積もる必要があります。
絶対にかかる費用
ドレンを回収するためにボイラーまで回収するための配管を引きます。
また、熱が逃げないようにこの配管を保温材で保護します。
このように回収されたドレンは90℃以上あるので、ボイラーにつながる給水ポンプを高温仕様にします。
ドレンが過剰に回収された場合、オーバーフローするので、オーバーフロー先を高温仕様にします。
ドレンを貯水するタンクも蒸気によって加圧されるので、圧抜けのために蒸気抜けを作ります。
また、タンク自身にも熱が逃げないように保温材で保護します。
熱エネルギーを可能な限り回収するならかかる費用
可能な限り熱を回収しようとするならオーバーフローしてしまっては意味がありません。
タンク容量を大きくする必要があります。どの程度大きくするかは設備によります。
回収するべきかの判断について
熱交換が多い場合、おそらく回収したほうが正解だと思います。
ざっくりですが月の燃料代が50万円以上なら検討する価値はあると思います。
熱を全て回収できるわけではないのでドレン回収した場合3~10%燃料代が節約できると思ってください。
回収幅が広いのは使用する温度によって異なるためです。使用温度が高いほど節約できます。
水道代もざっくり1/2〜1/3くらいは下がると思います。
計算方法について
使用する燃料によっても違うので難しいところですが・・・
仮にプロパンガスを使った場合、以下のようになります。
プロパンガス1m?を燃やすと得られるエネルギー | 99 | Mジュール |
ボイラー効率 | 95 | % |
水1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量 | 4.2 | ジュール |
水温 | 20 | ℃ |
蒸気温度 | 150 | ℃ |
水1kgを気化するのに必要な熱量 | 2257 | kj/kg |
上記の数値を参考に、月間に使っている水の量から下の数値を出すことができます。
月間必要なエネルギー(Mジュール)の水の温度上昇分(150-20℃) | XXX | Mジュール |
月間必要なエネルギー(Mジュール)の水の気化必要分 | YYY | Mジュール |
その後に、ドレンを回収したときの水温90℃として計算すると
仮にドレン(90℃)を使用した場合の水の温度上昇分(150-90℃) | ZZZ | Mジュール |
水分の気化熱は変更できません。
よって、XXX/(XXX+YYY)で月間必要な水の温度上昇分が全体の何%かを計算することができます。
その後、ZZZ/XXXで何%改善できるか計算することができます。
弊社ではどれくらい節約になるのか?
まだ検討段階なのではっきりとしたことはわかりませんが、数万円以上レベルで改善できる可能性があります。