繊維業界あるある話 ~機械によって癖がある~

機械によって癖がある

やー、最初にこの業界に入ったときにこれは散々聞きました。

「同じ織機でも、台ごとにがある。それを見極めて調整するんだ。これには長年の感が必要なんだ。」

的な。
わりとこれはどこの機屋でも聞く話らしいですね。そこそこ大きい会社でも同じみたいでしたね。

癖はあるのか?

うん、普通にそんなことないからね。

単なる機械なので、設定上の問題だけ。
もちろん、台ごとに多少の設計公差はあると思うけど、ほぼ無視できるレベル。
あと、台ごとの差って言ったら水平レベルとかそんな話になってくる。
製織というものに関してどれだけ知識を有しているかでなんて言葉は恥ずかしくて使えなくなってくる。

どういうケースがよくあるのか?

よくあるのが、
メインとサブノズルの圧力比の関係がめちゃめちゃだったり、噴射タイミングがずれていたり、
サブノズルの角度が圧力に対して適切じゃなかったり(これは最新織機では圧力に対して噴射の向きが変わらなくなった)、
枠の高さがめちゃめちゃだったり、適切なバック、ドロッパー高さじゃなかったりした。

たまにあるのは
開口量が違っていたり、開口タイミングが違っていたり、微風の設定が違っていたりした。

なぜ癖がある、と勘違いしてしまうのか

技術の継承が行われいないこと、そして業界内での知識の共有が乏しいこと、が起こるんだろうなぁと思っています。

今後の動向

新しい織機は色々な個所が電子制御されるているので、特定の人間頼みって部分がだいぶ減ってきます。
言い換えると、30年のベテランと1~2年の新人でもそう大差ない時代に突入しつつあるということです。
むしろ新人の方が変な前知識がない分、ベテランよりもいいときもあるかもしれません。

余談ですが、職人が織る布~とかいうじゃないですか。
それ自体を否定するつもりはありませんが、肯定するつもりもあまりありません。
繊維の業界でもメーカーはより簡単により高品質に作るために知恵を絞っているのですから。
なんでもかんでも職人が~、というのはちょっと違うような気がします。
日本って職人信仰がありますよね。けど、違うところにも目を向けてほしいかなと思っています。