サイジングをなぜ行うのか

主な目的は製織中の糸切れを防ぐこと

スパン糸の成り立ちは短繊維を撚り集めて糸にしています。
これは摩擦力と短繊維同士の引っかかりによって成り立っています。

製織時には糸に対して過酷な力や摩擦がかかるため、短繊維同士の引っかかりなどが外れていきます。
そのため、糸の強度が低下し、糸切れにつながります。

よく糸を強くするためです、と答える人もいますが、あれは半分正解というところです。
なぜなら元々強い太い糸にもなぜ糊付けをするのか、と考えれば強くするだけだと半分正解というのがわかると思います。

短繊維同士を接着する

短繊維同士をくっつけることにより、短繊維同士の引っ掛かりや摩擦を外れにくくなります。
そうすることによって、糸切れの低下につながります。

毛羽を伏せる

毛羽が多いと経糸同士が相互に絡み、互いに毛羽を引き抜きあうことになります。
毛羽も糸を構成しているものなので、引き抜かれた分だけ糸の強度が落ちていきます。
糸の強度が落ちるということはその分だけ糸切れが増えるということです。
切れないにしても緯糸を入れる際に開口不良等を招き、織物の品質には良くない影響を与えます。
上のような状態が理想的な状態になります。
ただ、完全に伏せることはコストがかかるので、織物の規格や、実際の製織性から考える必要があると思います。

柔軟性も必要

織機の構造上、糸に伸度がないと切れてしまいます。
そのため、糊をつけすぎると伸度がなくなり、逆に切れるようになってしまいます。
糊をつけすぎて、糸が硬くなり、切れやすくなることを弊社の産地だと「かしこくなる」と呼んでいたそうです。

ベターなサイジングを目指す

完全無欠のベストな唯一のレシピ、というのは存在しません。
抱合力と毛羽伏せの必要加減は織物によって異なります。
糸番手、紡績メーカー、原料の産地、原料の生育方法、密度、織組織、織る速さ、材質、織機の調整の仕方など、
どれか違っても結果に影響を及ぼします。
ギリギリを攻める場合にはなるべく多くの項目を把握しておく必要があります。
一度糊を付けてしまったら基本的には再度つけなおしというのはできません。
いくつかの場合を考え、ベターなサイジングを目指しましょう。

 

 

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