糊の温度依存性について

先日、糊の着糊量を増やしたいとの依頼がありました。(製織性うんぬんではなくて)
そこで糊のレシピの検討を行ったときに気づいた点を記載したいと思います。

糊粘度の温度依存は関係あるか

着糊量を増やすためには濃度もそうですが、粘度も関係してきます。粘度が高いほうが糊の付きやすさが変わってくるからです。
内部まで浸透しづらくなるという点がありますが、今回の依頼は着糊量を多くしてほしいとのことなので不問とします。
そうなると当然コーンスターチの割合が多くなるのですが、粘度には温度も関係してくることが考えられます。
そこで、資料を検索したところ、次のような記述がありました。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience1968/6/2/6_76/_pdf

確かに温度が下がると粘度が上がるようですが、粘度がかあり始めるのが75℃~80℃付近で急変するようになっています。
そう考えると、糊の温度を下げて付着量を増やそうとした場合、60℃くらいまで落とす必要があると考えます。
しかしこの場合、綿につけるなら綿の中にある蝋が溶けず、接着性が悪くなりますし、加工速度が遅くなることも懸念されます。
そうなると糊の粘度安定性を考えた場合、温度降下による粘度の上昇は避けるべきだと考えました。