サイジング デバイド抵抗と毛羽伏せ

デバイドと毛羽の相関性

デバイド抵抗と毛羽伏せには密接な関係があり、デバイド抵抗が高いと基本的には毛羽立ちも多くなる傾向にある。
一斉サイジングの特徴として経糸すべてを同時に糊付けしていくため、非常に生産性が高い。
しかしその反面、経糸同士がくっついてしまうのはどうしても避けることができない現象となっている。

経糸同士がくっついたままでは製織することができないため、
乾燥後に荒巻ビーム間に分割棒(デバイドロッド)を入れて糸同士を引き離す必要がある。
分割するときに生じる抵抗がデバイド抵抗と言われる。

糸同士を引き剥がすので、抵抗が大きいほど表面の糊が剥がれ、伏せられた毛羽を再度立たせてしまうことになる。
よって、この分割抵抗を下げるのかは準備工程にとっての課題といってもよいと思います。

デバイド抵抗を下げるためのアプローチ

アプローチの方法はいくつか考えることができ、

・糊のレシピ
・オープンスペースを大きくする
・アフターワックス(オイル)

上記の3点が考えられます。
今回はオープンスペースを大きくする効果について考えてみたいと思います。

オープンスペースの効果

物理的な距離

糸同士を引き剥がすということは、糊が付着し、乾くときにお互いの距離が近いほど強固にくっつくはずです。
つまり、乾燥させる時の糸同士の距離を物理的に離すほど、デバイド抵抗は減るという考え方で間違いないと考えられます。
そのため、オープンスペースでは最低50%、可能なら60%以上あれば最適な糊付けの環境になると考えられてきていました。

設備は大きいほど良い?

オープンスペースが広い方がいいなら、設備の横幅、使用する荒巻ビームの幅は大きければ大きいほど良いとも言えます。
しかし、極端に大きすぎる場合には糸のローリングが起こる可能性や糸シートが綺麗になりづらい可能性が出てきます。
これをカバーするにはサイズボックスは複数個あるのが望ましいと思います。
例えば、サイズボックスが2個あれば上記の糸本数は半分になり、糊を絞る時と乾燥する時のオープンスペースは半分になります。

ローリングしない限り、オープンスペースは大きくとる

よってサイジングのデバイド抵抗を下げるには、オープンスペースを織物毎に管理し、
基本的には50%以上になるように調整する。ローリングや糸シートが乱れやすくなければより大きくとるべきだと考えられます。
これは糸質や太さ、織物規格、設備の乾燥方式によるところがあることに注意するべきです。